現時点の望遠鏡性能

結像性能

  • FWHM:1-2 arcsec (おおむねシーイングリミットを達成可能)
  • 星像の保持可能時間:1-2 hours
  • 望遠鏡指向後の主鏡セグメントの再調整時間:~3-5 min
    • 上記にはシャックハルトマンカメラへの装置の切り替え、調整用の明るい天体への指向、主鏡セグメントの再調整の全工程を含みます。
  • 主鏡セグメントの再調整に使える天体の限界等級:4等級

指向精度

  • RMS 5秒角程度
    ※1.KOOLS-IFUの視野サイズより大きいため、観測天体が暗い場合は近く(観測天体から20分角以内)の明るい天体で指向誤差を補正する必要があります。
    ※2.TriCCSの視野サイズやGAOES-RVのガイドカメラの視野サイズは指向誤差より十分広いため、通常の場合は近傍の天体で指向誤差を補正しなくても観測天体を視野内に導入することが可能です。
  • 観測中の追尾誤差はオフセットガイダー等を用いて補正可能です。
    ※補正しない場合、10分間で最大2秒角程度の追尾誤差が生じる可能性があります。

観測時間見積もりの注意点

  • 18枚の主鏡セグメントの像は1-2秒角程度の範囲に結像し、岡山天文台の典型的なシーイングサイズ(高度30度以上の天体について、最頻値1.8-2.0秒角)と同程度のFWHM程度を達成可能です。
  • KOOLS-IFUおよびTriCCSを用いた観測では、天体光の積分中の追尾誤差を補正するオフセットガイダーが利用できます。また、GAOES-RVではガイドカメラ(視野50秒角程度)を用いてファイバー入射口から漏れた天体光を使った追尾誤差の補正が可能です。これらの追尾誤差補正を利用しない場合は10分当たり最大で3秒角程度の追尾誤差が見込まれます。
  • 観測開始時に観測天体と同程度の高度にある4等星よりも明るい星を使って主鏡セグメントの再調整を行ってください。
    • 観測中もドーム内の気温が1-2℃以上変化した場合や、主鏡セグメントの調整を行った天体の高度から10-20度以上異なる高度の天体を観測する場合などには観測天体と同じくらいの高度の 4等星よりも明るい星を使って主鏡セグメントの再調整を行ってください(観測天体へのポインティングや天体光の露出時間+読出し時間以外に、1-2時間毎に主鏡セグメントの再調整時間が必要となることにご注意ください)。
    • 観測計画の立案においては、点源の場合の像直径(FWHM)を2秒角、天体から天体への望遠鏡指向の切り替え時間を5分として必要な観測時間を見積もってください。KOOLS-IFU, TriCCS, GAOES-RVのexposure time calculatorで、 FWHMを2秒角として必要な露出時間や達成できるS/Nを見積もることができます。
  • 同一観測夜中に可視光面分光装置KOOLS-IFU可視光3色同時撮像装置TriCCS視線速度精密測定用可視高分散分光器GAOES-RVを切り替えて使用することが可能です(同時に複数の観測装置に天体光を入れて観測することはできません)。研究課題の掲げる科学目的達成のために必要な場合は、複数の観測装置を使用する観測提案も受け付けます。
    • 観測装置ローテーター上での装置の切り替え自体は1分程度で済みますが、TriCCSの視野に比べてKOOLS-IFUの視野やGAOES-RVのファイバー入射口は非常に狭いため、観測天体を導入し天体光の積分を開始するまで数分の時間を要します。複数の装置を同一観測夜中に切り替えて観測する場合は、それぞれの装置への切り替え時間を5分として必要な観測時間を見積もって下さい。